TronとTetherが違法USDT対策組織「T3」を8月に終了

Tron、Tether、TRM Labsが2024年9月に共同で立ち上げた金融犯罪対策組織「T3 Financial Crime Unit」が、2026年8月下旬に終了していたことが分かった。ブルームバーグの報道を引用したBitcoin Magazineによると、3社は終了の詳細にはコメントしていない。終了時期は、バイナンスで10月29日に起きた大規模流出事件の約2か月前にあたる。
この記事のポイント
- Tron、Tether、TRM Labsの官民組織「T3」が2026年8月下旬に終了していた
- 終了は当時公表されておらず、ブルームバーグの報道で明らかになった
- 組織は対応の遅さや連携不足を抱えていたと関係者の話として報じられている
- バイナンスの大規模流出の約2か月前で、資金洗浄の多くはTron上で行われたとされる
- Tronは新たな犯罪対策の取り組みを後日発表すると説明している
基本情報
| 対象 | Tetherの米ドル連動ステーブルコインUSDT(Tron上の不正利用) |
|---|---|
| 組織 | T3 Financial Crime Unit |
| 設立 | 2024年9月(Tron、Tether、TRM Labs) |
| 終了時期 | 2026年8月下旬(ブルームバーグ報道) |
| 公表状況 | 終了は当時公表されず、各社は終了を認めた |
| 凍結実績 | 2026年5月時点で4億5,000万ドル以上と発表 |
| 参加当局 | 5大陸23の管轄区域(米国、スペイン、ドイツ、ブラジル、英国など) |
記事作成時点の価格
記事作成時点(2026/11/05 23:10)の価格。出典: CoinGecko最新の価格ではありません(時刻は日本時間)。
| 銘柄 | 価格(米ドル) | 価格(円) | 24時間の変化率 |
|---|---|---|---|
| BTCビットコイン | $79,535 | ¥12,599,453 | +1.68% |
T3が終了したと報じられた経緯と各社の対応
Bitcoin Magazineは、ブルームバーグの報道を引用し、Tron、Tether、TRM Labsが2024年9月に立ち上げた官民の犯罪対策組織「T3 Financial Crime Unit」が2026年8月下旬に終了していたと伝えた。終了は当時公表されておらず、今回の報道で初めて外部に知られる形になった。
報道によると、組織は直近の1年ほど、対応の遅さやメンバー間の連携不足から機能が低下していたという。ただし、これは事情に詳しい複数の関係者の話に基づくもので、各社は報道の詳細にはコメントしていない。Tronのスポークスパーソンは、「大きな成果を上げたT3のプログラムは終了した」と述べ、今後新たな犯罪対策の取り組みの詳細を共有すると説明した。
Tetherは、TRM Labsと引き続き不正資金の妨害に取り組むとし、TRMが2025年8月に始めたリアルタイムの情報共有網「Beacon Network」にも参加していると説明した。また、TetherのCEOであるパオロ・アルディーノ氏は10月31日、Xで「FASE Foundation」の設立を明らかにしている。
T3の仕組みと凍結額の推移を振り返る
T3は、Tronブロックチェーン上で使われるTetherのステーブルコインUSDTの不正利用を対象にした仕組みだった。ステーブルコインは米ドルなどの法定通貨に価値を連動させる暗号資産のことで、T3ではTRMがブロックチェーン分析を提供し、Tronがネットワーク上の可視性を担い、Tetherが発行体としてトークンを凍結する役割を分担していた。
凍結額は段階的に増えたと公表されている。2025年8月には1年足らずで2億5,000万ドル超を凍結したと発表し、同時に外部パートナー向けの「T3+」を始めた。最初のメンバーはバイナンスで、共同の初案件では投資詐欺の一種とされる「pig butchering」に関連して約600万ドルを凍結したという。2026年2月にはTRMが3億ドル超と示し、2026年5月には4億5,000万ドル以上を凍結し、5大陸23の管轄区域の当局と連携していると発表された。
2026年5月の発表では、口座乗っ取りや暴力犯罪に関わる緊急の要請について、法執行機関からの依頼から24時間以内に資金を凍結できたとも説明されていた。一方で、今回報じられた連携の問題には触れていなかった。
バイナンス大規模流出との時期関係と資金の動き
今回の終了時期が注目されるのは、バイナンスで10月29日に起きた流出事件の約2か月前にあたるからだ。バイナンスは損失額を約63億4,000万ドルと公表しており、ブロックチェーン分析企業は攻撃を北朝鮮と関連づけて分析しているとされる。
分析企業Ellipticによると、盗まれた資金の洗浄の大半はTronブロックチェーンを経由しており、その規模は約2億2,000万ドル相当のTRXに上るという。CNBCもElliptic の分析を引用し、盗難資産の約28億5,000万ドルが凍結または差し押さえられたと報じた。Tetherは攻撃後に15億6,700万ドル超のUSDTを凍結したと説明している。
T3がなくても業界全体で一定の凍結は行われた形だ。ただし、USDTを凍結できる権限は組織ではなくTetherにある。T3は、各国の捜査機関が発行体、ブロックチェーン、分析企業へ一度に連絡できる窓口として機能していたと整理できる。
今後の確認ポイントと後継組織の行方
Tronは新たな犯罪対策の取り組みを後日発表するとしているが、詳細や参加者は現時点では明らかにされていない。TetherとTRMのBeacon Networkが今後どの程度の役割を担うかも、報道からは判断できない。
確認すべき点は、後継の取り組みがT3と同じ官民の連携構造を持つのか、どの取引所や発行体が参加するのか、そして凍結実績が公表されるかどうかだ。ブルームバーグの報道は匿名の関係者への取材に基づくため、組織の不和の詳細は今後の公式発表や追加報道で確認する必要がある。
よくある質問
- Q.T3 Financial Crime Unitはいつ終了したのか?
- A.Bitcoin Magazineが引用したブルームバーグの報道では、2026年8月下旬に終了したとされています。終了は当時、各社から公表されていませんでした。
- Q.T3は何を目的にした組織だったのか?
- A.Tron、Tether、TRM Labsが2024年9月に設けた官民組織で、Tronブロックチェーン上で不正に使われるUSDTの凍結を目指していました。2026年5月時点で4億5,000万ドル以上を凍結したと発表されています。
- Q.バイナンスの流出被害額はいくらか?
- A.バイナンスは10月29日の損失を約63億4,000万ドルと公表しています。分析企業Elliptic(エリプティック)は、資金洗浄の大半がTron上で行われていると指摘しています。
出典・参考情報
- Bitcoin MagazineTetherとTronが犯罪対策部門を廃止、Binance大規模ハック前に
原題: Tether and Tron Quietly Scrapped T3 Crime Unit Two Months Before $6.3 Billion Binance Hack
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