米中間選挙で民主党が議会奪還、CLARITY法の行方と業界の課題

米中間選挙で野党・民主党が連邦議会下院の過半数を奪還する見通しとなり、上院でも過半数を得たと報じられた。暗号資産の市場ルールを定めるCLARITY法は上院で停滞してきた経緯があり、民主党の多数派化によって倫理規定や消費者保護を含む交渉が改めて動く可能性がある。大統領の拒否権や業界の譲歩も焦点になっている。
この記事のポイント
- 米中間選挙で民主党が下院の過半数を奪還する見通し、上院でも過半数を得たと報じられている
- CLARITY法は2026年9月に上院で審議を進められず、倫理規定をめぐる対立が停滞の一因とされる
- トランプ大統領一族の暗号資産事業が、新議会の調査対象になる可能性があると報じられている
- 法案を成立させるには、大統領の拒否権を覆すため上下両院で3分の2の賛成が必要になる
- Binanceで約63億ドルが流出した事件も、安全基準や消費者保護をめぐる議論に影響している
基本情報
| 法案 | CLARITY法(暗号資産市場構造法案) |
|---|---|
| 投開票日 | 2026年11月3日 |
| 下院の状況 | 過半数を奪還する見通し(議席は未確定) |
| 上院の状況 | 過半数を獲得したと報じられている |
| 政治献金 | 暗号資産関連企業が2億3300万ドルを拠出(Public Citizen分析) |
| 議会主導権 | 2027年1月から民主党が多数派として権限を握る見込み |
| 拒否権の壁 | 覆すには上下両院で3分の2の賛成が必要 |
中間選挙で民主党が議会の主導権を握る見通しに
米国の中間選挙は2026年11月3日に投開票され、野党の民主党が連邦議会下院の過半数を奪還する見通しとなった。NBCニュースなどが同日夜に報じたもので、下院の最終的な議席数はまだ確定していない。翌4日には上院でも民主党の過半数獲得が報じられている。
暗号資産業界の政治資金にも注目が集まっている。Cointelegraphは、公的資料を分析した非営利団体Public Citizenの集計として、暗号資産関連企業が2026年の中間選挙サイクルで政治団体に計2億3300万ドルを拠出したと伝えている。オハイオ州の上院選では、暗号資産系の政治活動委員会が共和党のジョン・ハステッド上院議員の対立候補を狙って約6400万ドルを支出したと報じられたが、民主党のシェロッド・ブラウン氏が勝利した。
Cointelegraphによると、民主党の上院議員で暗号資産に批判的な立場を取ってきたエリザベス・ウォーレン氏が、次の議会で上院銀行委員会の委員長を務める見込みだという。同委員会は暗号資産法案の審議でも重要な役割を担う。
CLARITY法は上院で停滞、倫理規定の対立が焦点に
CLARITY法は、暗号資産市場の連邦ルールを定める法案である。Cointelegraphによると、上院は2026年9月に同法の審議を前に進められず、倫理規定をめぐる意見の対立が行き詰まりの一因になったという。
民主党は政権と利害関係者の関係にも目を向けている。トランプ大統領一族が関与する暗号資産事業への批判が強まっており、下院監督委員会の次期委員長に就く見通しのロバート・ガルシア議員は、11月4日(日本時間)にXへ「LAWYER UP.」と投稿した。同氏は一族の事業や企業の不正などを調査する考えを示している。
調査対象として名前が挙がっているのが、トランプ大統領が関与するワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)だ。あたらしい経済は、UAEの関係者と結びつく投資会社が2025年1月にWLFIの49%の持ち分を5億ドルで取得する契約を結んだと報じられていると伝えている。また、同社の関連会社が米通貨監督庁(OCC)に国法信託銀行の免許を申請し、2026年8月に条件付きの予備承認を得たが、最終承認は得ていないという。
業界が求められる譲歩は消費者保護と規制の受け入れか
Cointelegraphは、消費者保護を強める方向で業界に譲歩を求める声が出ていると伝えている。ブロックチェーン企業の元幹部であるポール・ブロディ氏は、銀行が暗号資産企業にも同じ水準の消費者保護や安全基準を求める形で有利になると予想している。同氏は、業界が似た条件を受け入れることを賢明な戦略として勧めているという。
一方で、消費者保護と技術革新を対立させるべきではないとの主張もある。ブロックチェーン協会のリンゼイ・フレイザー氏は、消費者を守りながら技術の実態に合った法律を作れると述べている。
Binanceで起きた大規模な流出も議論に影響している。Cointelegraphによると、10月29日に約63億ドルが流出し、暗号資産史上最大規模のハッキングとされる。1inchのマイリー・マ氏は、現在の法案案には保険や損失の受取人に関する規定、ホットウォレットの上限がなく、今回の事例を防ぐ仕組みになっていないと指摘した。
大統領の拒否権と今後の交渉で確認すべき点
法案が成立するには原則として大統領の署名が必要で、大統領が拒否権を行使した場合は上下両院でそれぞれ3分の2の賛成がなければ覆せない。あたらしい経済によると、民主党は医療保険制度の見直しや関税をめぐる議会権限の回復などを優先課題に掲げており、拒否権が大きな障壁になる可能性があるという。
CoinPostは、下院民主党が協議する新たな市場構造法案の構想について、業界関係者が好まないだろうとの見方を示したと伝えている。Cointelegraphも、民主党の下院でマキシン・ウォーターズ議員の提案を広げた市場構造法案が検討されていると報じている。
調査の本格化時期について、ロイターは2027年2月にも始まる可能性があると報じていた。今後は、倫理規定の扱い、消費者保護の水準、規制当局の権限配分の3点が交渉の確認ポイントになりそうだ。
よくある質問
- Q.CLARITY法は2027年以降に成立するのか?
- A.現時点で成立時期は示されていない。Cointelegraphは、民主党が2027年1月に議会の主導権を握ることで法案の見直しが可能になると伝えている。ただし大統領の拒否権などが障壁になる可能性も指摘されている。
- Q.中間選挙で暗号資産業界はどれだけ政治資金を出したのか?
- A.Public Citizenの分析として、暗号資産関連企業が2026年の中間選挙サイクルで政治団体に計2億3300万ドルを拠出したと、Cointelegraphが伝えている。
- Q.Binanceの流出事件は法案にどう関係しているのか?
- A.10月29日に約63億ドルが流出した事件を受け、法案への影響が議論されている。1inchの幹部は、現在の法案案には保険や損失の受取人に関する規定がないと指摘している。
出典・参考情報
- Cointelegraph民主党の米中間選挙勝利がCLARITY法案に与える影響
原題: What Democrats’ US midterm sweep means for the CLARITY Act
- あたらしい経済米中間選挙で民主党が上下両院奪還、トランプ一族の暗号資産事業に調査及ぶ可能性
原題: 米中間選挙、民主党が上下両院を奪還へ。トランプ一族の暗号資産事業に調査及ぶか=報道
- CoinPost米下院民主党の仮想通貨市場構造法案構想、業界から否定的見方
原題: 米下院民主党の仮想通貨法案構想、業界関係者から否定的な見方=報道
- Decrypt米中間選挙後、民主党が暗号資産市場構造に関する包括的な法案推進へ
原題: Democrats to Push Broader Crypto Market Structure Bill After Sweeping US Midterms: Report
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